第3回「Global Leadership Camp for Visually impaired people」を東京で初開催 6カ国7名が集い、それぞれの社会課題解決プロジェクトを発表
- 3 日前
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VISI-ONE Innovation Hubは、2026年3月13日(金)から19日(木)までの7日間、視覚障がい者を対象とし、次世代リーダーの発掘、育成を目的とした第3回「Global Leadership Camp for Visually Impaired People(グローバル・リーダーシップ・キャンプ)」(運営主管:一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション(以下、IBF Foundation))を、東京都と千葉県で開催しました。
本プログラムには6カ国から7名が参加。それぞれが自身の社会課題解決プロジェクト「My Project」を持ち寄り、講義や体験、対話を通じてブラッシュアップし、発表を行いました。
GLCは、視覚障がい者を取り巻く社会課題の解決を担うリーダーの発掘・育成を目的としており、これまで2024年にスペイン・マドリードで2回開催されています。第3回となる今回は、日本企業・団体の協力を背景に、初めて日本で開催され、独自のプログラムとして実施されました。
なぜ、視覚障がい当事者のリーダー育成が必要なのか
視覚障がいにまつわる社会課題は、世界各地に広く存在しています。教育、雇用、スポーツ、移動などの分野で共通する課題もあれば、国や地域ごとに異なる課題も多くあります。これらの課題を解決していくためには、現地の状況を理解し、主体的に取り組む当事者の存在が不可欠です。
VISI-ONE Innovation Hubは、「各国における視覚障がい者を取り巻く社会環境の改善、変革を促すため、将来のリーダーとして活躍する人材を発掘・育成する」ことを目的に、本プログラムを実施しています。
キャンプ概要
日程: 2026年3月13日-19日開催地:東京都(一部は千葉県)
キャンプ参加者数:7名(視覚障がい当事者/6カ国より参加)
協賛社:スカイライト コンサルティング株式会社、参天製薬株式会社
プログラム協力:インパクトジャパン株式会社、株式会社Ashirase、日本科学未来館
参加者の選考
参加希望者には、リーダーシップを発揮して将来実現したいプロジェクトやビジョンを記した書類の提出を求め、約2週間の募集期間で世界中から24件の応募がありました。書類審査およびオンライン面談を経て、7名を選出しました。なお、ONCE(スペイン視覚障がい者協会)から推薦された2名の参加も予定されていましたが、緊迫する中東情勢による渡航リスクの高まりを受け、直前で参加を見送ることとなりました。
参加者の顔ぶれ
参加者は6カ国から集まり、男性4名、女性3名、年齢は25歳から36歳。多様な分野で活動する人材が参加しました。
l フランス(31歳・男性) 社会起業家
l ガーナ(31歳・女性) 教育
l エチオピア(28歳・男性) 法務、人権
l イタリア(25歳・女性) 視覚障がい者支援団体の運営
l オーストラリア(30歳・男性) カウンセラー、ブラインドサッカー代表主将
l オーストラリア(31歳・女性) コンプライアンス、ブラインドサッカー代表主将
l 日本 (36歳・男性) 法務、社会起業家
会場
成田空港に到着した参加者は、研修設備を備えた千葉県富里市内のホテルに滞在し、第2日までのプログラムを実施。その後、国立オリンピック記念青少年総合センターに移り、同センター内や都内各所で、研修・体験プログラムを行いました。
プログラム構成~体験と対話を通じてリーダーシップを磨く
参加者は、事前に提出した自身のプロジェクト構想「My Project」を軸に、7日間のプログラムに取り組みました。講義、体験、ディスカッション、ピアコーチングを通じてプロジェクトを磨き上げていきました。
【Day1~集合】
世界各地からの参加者が成田空港に到着しました。航空会社や空港のスタッフの助けを借り、一人で到着ゲートまで来ます。
【Day2~体験から学ぶリーダーシップ】
オリエンテーションの後、簡単な自己紹介で、世界各地から集まった参加者がお互いを知る時間を設けました。
その後、企業から募った8名とグループになって、コミュニケーションやリーダーシップを学びました。
午前は、ブラインドサッカーを使ったコミュニケーション・ワークショップ。見える人と見えない人の間のコミュニケーションを重ねる中から、問題解決能力の向上、およびチームビルディングを進めました。

午後は、インパクトジャパン株式会社による体験型学習を通じたリーダーシップ研修。二つのセッションでは「気づき、決断、行動」のサイクルを回すことの重要性が説かれ、チーム内でのコミュニケーションから、相互理解やリーダーシップの本質を考えました。最後に、この日の経験をもとに、キャンプ期間における行動指針(グランドルール)を自分たちで策定しました。

【Day3~社会課題を多角的に捉える】
視覚障がい当事者と企業からの6名の参加者を3つのグループに分け、社会課題の解決を考えるディスカッションを終日行いました。ケーススタディの2つのテーマから1つを選び、ケースワークに取り組み、当事者性とビジネス性を形作るプロセスを体験しました。終了後に、千葉から東京へ移動しました。

【Day4~ビジネス視点とテクノロジーに触れる】
ピアディスカッションなどでMy Projectのブラッシュアップを行いました。夕方には、新宿にて、株式会社Ashiraseによるプレゼンテーションと視覚障がい者向けナビゲーションデバイスを体験。

【Day5~イノベーションを学ぶ】
午前は、日本科学未来館にて、館長の浅川智恵子氏が開発をリードする、視覚障がい者向けナビゲーションロボット、AIスーツケースを体験。副館長の高木啓伸氏が講義と説明を行い、イノベーションの発想について理解を深めました。午後は、企業からの9名の参加者も加わり、My Projectのブラッシュアップ。企業参加者と2~3人で「My Projectの実現を目指すチーム」を組成し、10年後のビジョンを議論しました。

【Day6~当事者としてのリーダーシップを学ぶ/最終発表】
午前は、競泳のパラリンピアンで、前日本パラリンピック委員会委員長の河合純一氏の講演を聴き、視覚障がい当事者としてリーダーシップを発揮されてきた同氏の経験から学びました。午後からは、スカイライトコンサルティング株式会社のオフィスにて、準備した後、7人の参加者はMy Projectの最終発表会に臨みました。終了後には懇親会も行われました。

【Day7~振り返りと次の一歩へ】
午前中にプログラム全体の振り返りを行った後、参加者は帰途につきました。
参加者が発表した内容
1. Brendan Spencer - Australia
オーストラリアの地方コミュニティにおいて、視覚障がい者は教育、メンタルヘルス、スポーツなどのリソースへのアクセスが限られている。自身がプライベート・カウンセラーとなり、オンラインや電話を通じてカウンセリングを提供。
2. Yosuke Kunimune - Japan
視覚障がい者が学び、働く機会を失っているのは個人の能力ではなく、システムの欠如が問題であると考える。"With Blind" という組織を設立し、視覚障がい者のためのオンラインスクールを運営。視覚障がい者を講師として雇用。今後10年で世界中に広め、子供たちに孤独や悲しみを感じさせたくないという願いを実現する。
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3. Ramatu Salifu - Ghana
ガーナでは視覚障がいのある少女は教育やスポーツから取り残され、差別、偏見、不平等にさらされている。"Blind Camp Project" を立ち上げ、ブラインドサッカーをエンパワーメントのツールとして活用。少女たちが自ら声を上げられるようにし、誰も置き去りにされない社会と平等な機会の創出を目指す。

4. Dilane Dhampattiah - France
日本の金継ぎをメタファーとし、壊れたものから新たな価値と金の繋がりを生み出すことを目指す。ホテルとコーヒーショップを融合させた "Osmos" をフランスのカーン市で運営。
来目隠しをした状態でコーヒーを味わうなどの感覚体験を通じて、来客に人生の新しい捉え方を提供する。従業員の80%を視覚障がい者で構成する計画で、4月にクラウドファンディングを開始予定。
5. Rachel Parkes - Australia
ブラインドサッカーにおいて女子はパラリンピックに採用されていないという格差がある。世界ランキングがある代表チームは、男子50に対し、女子は12しかない。自国開催の2032年ブリスベン大会での採用を目指し、国際パラリンピック委員会などへ働きかける。
6. Aschalew Chechebo Tadesse- Ethiopia
エチオピアで初となるBlind Sport Associationの設立を目指す。 国内で視覚障がい者がスポーツにアクセスできない現状を打破したい。情熱ある仲間を集め、組織を法的に登録し、国内大会の開催を目指す。

7. Magdalena Hofer - Italy
イタリアは統合教育で、盲学校がないため、地方の視覚障がい児がスポーツを知る機会が少ない。自身が代表選手であるゴールボールの全国的なワークショップを開催する。10歳以上の子供と保護者を巻き込む。
参加者の声
「リーダーシップとは、何らかの公式な役職に就いていなければ発揮できないものだと、私は無意識のうちに思い込んでいたように思います。しかし、このGLCキャンプへの参加を通じて、自分自身のリーダーシップのあり方について内省するだけでなく、仲間と共にそれを探求することができ、非常に意義深い経験となりました。参加者一人ひとりが達成したい目標は異なりますが、私たちは皆、視覚障害があるから、という周囲からの思い込みや、目の前にある目に見える状況に立ち向かい、それを変えていきたいという共通のマインドセットを持っています。このような視点を共有する仲間と一週間を過ごしたこと自体、計り知れない価値がありました」
「リーダーシップとは、階級や権力、肩書きによって決まるものではなく、自分の行動やそれが他者に与える影響を自覚することだと学びました。日常生活やチーム、そして社会において、誰もがリーダーになれるのです。真のリーダーシップは一人では成し遂げられません。それは協力、交流、そして互いのサポートを通じて形作られるものです。国際的なグループでの活動を通じて、共有されたリーダーシップがいかに強力であるかを実感しました」
「ここでの経験は、夢のようです。私たちには二つの可能性があります。この経験を捨てることもできますし、あるいは、経験と学びに満ちた新しいスーツケースを持って帰り、学び続け、ステップアップし、連絡を取り合い、チームであり続けることもできます。これで終わりではありません。私たちのグローバルな活動の始まりに過ぎないのです」
「ここで感じた気持ちが大好きでしたし、それが恋しくなるでしょう。多くのことを学び、皆さんとたくさん笑いました。私のプロジェクトの目的は、他の人々にもこのような経験をする機会を提供することなので、次のプログラムに参加者を送り出したいと思っています。私たちと同じ経験をより多くの人ができることを願っています」
今後に向けて
VISI-ONE Innovation Hubは、今後も本プログラムの実施など、視覚課題解決の取り組みを後押ししていきます。
本キャンプで生まれたプロジェクトが各国で実装され、新たな価値が社会に広がっていくことを目指します。


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